胆嚢粘液嚢腫は、粘液(ムチン)を含んだ胆汁が過剰に分泌され、
ゼリー状物質となり胆嚢内に蓄積する病態です。
発生機序はまだ明らかになっていませんが、
「高脂血症、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症」
などの基礎疾患を持っているわんちゃんでは、発症しやすい傾向があると報告されています。
進行すると胆管閉塞や胆嚢破裂を起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
症状には、嘔吐・下痢などの消化器症状や食欲不振などがありますが
無症状であることが多いとされています。
胆管閉塞や胆嚢破裂を引き起こした際は、黄疸も認められるようになり
緊急的な手術が必要となります。
血液検査では、肝臓の数値の異常が顕著に出ることがありますが、
診断には超音波検査が有用です。
正常な胆嚢エコー画像
胆嚢粘液嚢腫のエコー画像
内科的治療では、胆汁の排泄を促進する薬や抗菌剤、肝臓を保護強化する薬などの投与、
低脂肪の食事療法などを行いますが、改善することは稀であり、
根治させるには胆嚢を摘出する外科手術以外に方法はありません。
胆嚢の病気は初期症状が出にくいため、飼い主様が気づかれることが難しく、
偶発的に見つかることが多いため、早期発見および早期治療が重要となります。
特に、中高齢(7歳以上)のわんちゃんは、定期的な健康診断をお勧めいたします。