日: 2024年9月19日

猫の肥大型心筋症

心筋症は猫ちゃんに一般的な心臓疾患のひとつで、肥大型心筋症がその大半を占めます。

 

肥大型心筋症の猫ちゃんは心臓の壁(左心室壁)が分厚くなってしまい、
血液がうまく送り出せなくなります。
疲れやすくなり、あまり動かなくなるなどの症状が出ることもありますが、
そのほとんどが無症状で進行します。
そして気づいたときには、
心不全となり肺水腫や胸水貯留を引き起こしてしまうことがある病気です。

 

 

また、心臓から血液がうまく送り出せないことによって、
心臓内で血液が滞留し血栓が出来やすくなり、
その血栓が大きな血管に詰まると突然死や後肢麻痺などを引き起こす、
非常に怖い合併症である動脈血栓症につながることもあります。

 

この病気は遺伝的素因が関与していることが多く、
好発品種としてメインクーン、ラグドールなどの純血種の子が挙げられますが、
純血種でなくても発症したり、
甲状腺機能亢進症や高血圧が原因となり心筋肥大を起こすこともあります。

 

聴診で心雑音が聞こえて病気が発覚する子もいますが、
聴診に問題が出ない心筋症の子もいます。
そのため、心筋症ではレントゲンや超音波などの画像検査が非常に重要です。
これら検査で、心臓の壁が厚いことが確認されると肥大型心筋症と診断されます。
併せて、血液検査で心臓に負担があるときに出るホルモンの値を測定することもあります。

 

残念ながら肥大型心筋症は完治させることができる病気ではなく、
うまく病気とお付き合いしていくために心不全の予防や、血栓症の予防をベースとした
投薬治療による対症療法を行っていきます。

 

肥大型心筋症は早期発見・早期治療がポイントです。
この病気は一般的な身体検査や血液検査だけでは検出が出来ないことも多いため、
定期的な健診だけでなく、
好発品種の子は超音波検査なども組み合わせて行うことをお勧めします。